一言に賭ける

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「騙される奴が悪いんだよなぁ」  突然、テーブルを挟む金髪の大男がクセのあるバイエルン州訛りで語り出す。感慨深く虚無をみつめる青い瞳。 「.......どういう事ですか」  カードを握り締め俯く青年が標準ドイツ語で聞き返す。 「人間はすぐに信用する」  大男は共謀した仲間の生命を奪い合う血で血を染める世の現状を語り始めた。ひとしきり語り終えると己が葬った二人の骸の山に顎をさす。 「だから俺はこのコインを山分けなんてしない。人は裏切り騙す生き物だからな。大金になればなる程後から寝首をかかれるリスクがある。ならばここで決着をつけるのが一番。貴様らも俺の考えに喜んで同意したよな」 『ポーカーで黄金のコインと生命を賭けよう』  偶然山小屋に集まった四人が宝箱の前で決めたルールが蘇る。ただし青年は一切納得をしていないままなのだが。 「さあ、もう運は全て使い果たした筈だ。毛色は違うがお前も結局はコイツらと同じ豚野朗。ツキなんかないぜ」 「何度も言うが僕は宝なんていらない。降りさせてもらえないだろうか」 「最後の一人になるまでのデスゲーム。この緊張感がたまらなく楽しいなあ」  大男はルールを決めた時と同様に青年の言葉を全て聞き流した。
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