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「悪い存在」
成恩寺真莉愛を愛するものはいない。
理由は単純明快。彼女は愛されるべき存在ではないからだ。
ガコンっ・・・
騒がしい教室が静まり返ったと同時に、湿った匂いと空のバケツが足元に転がり落ちる。その足で、真莉愛は目の前に正座するずぶ濡れ少女の腹を蹴り倒す。
「うっ・・・」と 儚いうめき声と共にねじ伏せられた少女は、子羊のような視線を真莉愛に向ける。真莉愛は少女に顔を近づけ、静かに吐き捨てる。
「ウザい 消えて」
少女は、顔を俯くと一気に廊下へ飛び出した。
群衆の注目を浴びながら、真莉愛は標的のいない床を冷たく見下した。
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