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私はぴくりと止まり、どうしたんですかと問いかける。するとさっきの缶ジュースを差し出してくる。
「これ開かなくてね、やだよ。あははは。もう年だから力も無くなっちまったかね。開けれるかいね?」
受け取って試みるとたしかに少しタブが固く、起こすのに少し苦労しながらも、爪を差し込みプシュッと開けることに成功した。
「お、開いたね。そんならそこに、置いてやってくれんか」
そう言って指さしたのは小屋の側。よく見ればそこにはおはぎがビニールを敷いた皿に並べてあった。
私は頷いてそこへ置くと、老婆はキャリーカートから何かが入った風呂敷を取り出し腰掛ける。
綺麗に整った結び目をするりと解くと、そこには市販のパンが入っていた。
「ほれ、食べんさいな。手伝ってくれたお礼やね」
「え、いいんですか?」
「遠慮せんと、ほれ」
受け取った私に、ニコリ微笑むとふーっと息を吐いて、先ほどの場所を見やった。
そんな姿に私はふと口を開く。
「いつもお供え物してるんですか?」
「ああ、何かいつまでも不憫でね。もうあれから……八年くらいは経つかねぇ、早いもんだよ――」
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