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「……ふむ、これは」 「ど、どうだ?」 「すばらしい、恋愛運最高潮! 結婚運最低最悪!」 「よっしゃあ!」  きっと道行く人は結婚運が最低というのを聞き逃したと思ったに違いないが、ケイヤはそれこそが聞きたかった言葉だった。 「あの壺はどうですか?」 「半年前に溜まりきって、今は大切に保管してある」 「蓋は?」 「それはしっかりと」 「ならいいでしょう。これからあの水を少しずつ接種してください。まあ一度に飲んでも構いませんが、あの量です。飲み切るのは大変でしょう。もし恋人ができれば、素敵な結婚生活はすぐそこです」 「ありがとうございます。俺……幸せになります!」  泣きながら握手をかわす。実は、占い師の元を訪れる前からその兆し、異性の出会いはそこら中であったのだ。  かわいい中途社員が入ってケイヤの下についた。よく行くコンビニの店員が若い女性に変わり、隣に女性が越してきた、などなど。これだけと思われるかもしれないが、この一年、ケイヤにはそれすらなかったのだ。 「次会うときは、その薬指に指輪があることを願っております」
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