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ソウの秘密
次の日─
ソウは、朝イチからドラマの撮影があり、リョウとキョウもライブのリハーサルの為に朝が早く、光輝が行ったときには寮には誰もいなかった。
…よし、このほうが作業しやすいな、と光輝はエプロンをつけ、まずキッチンの片付けから開始した。
コップ8つとマグカップ3コ。
たった半日前に片付けたのに、いったい何個コップ使うんだ…
光輝は、リョウとキョウの顔を思い浮かべてクソっと思い、その後ソウの笑顔を思い出し、心を落ち着ける。
…はぁ…今日はソウくんのパンツ、どんな柄かなぁ…
そんなことを想像してワクワクする。
キッチンを片付けて、サニタリーに向かった。
「おおっ」
家に独りだったこともあり、思わず声をあげてしまった。
今日のカワイイ担当の下着には、ハリネズミのワンポイントがついている。
「かか、カワイイ!」
思わず頬ずりをしてしまったが、さすがに匂いを嗅ぐのは我慢した。
セクシー担当の紫の下着とクール担当のまた同じ黒の下着は、ぽいぽいっとネットに放り込んだ。
洗濯を回しながら、掃除をするために部屋の片付けをしてまわる。
リビングに脱ぎ散らかされているシャツやジャケット、多分ここで眠ったのだろう、毛布もソファに置いてある。
それらをハンガーに掛け、部屋を整えた。
「とりあえずキョウさんの部屋から片付けるか」
独り言を言いながら、一応ノックして部屋を開ける。
黒で統一されたインテリア。
ライトも必要最小限。
すっきりと片付いている。
部屋の一角には、筋トレ用のベンチプレスが置いてあり、ストイックな一面を感じさせた。
そういえば、昨日チラっと見た上半身は、かなりしっかりと筋肉がついていた。
ソウを惚れさせる為だろうか、と考えると、なんだかいじらしいような気もしてくる。
とりあえず、片付ける必要は無さそうなので、後で掃除機だけをかけようとドアを閉めた。
リョウの部屋は、昨日も少し見たけれと、クッションやら洋服やらが散らばっている。
片付けているとベッドサイドにローションのボトルとコンドームの箱を見つけてしまい、焦った。
…まさかここに連れ込んだりしてないよな…
ドキドキしながら、そっと元の場所に戻す。
例えば、実家に住んでいる後輩の男の子。
帰るのが遅くなって、泊めてやる、なんてこともありそうだ。
リョウなら、そのくらいのつまみ食いは朝飯前に思える。
光輝だってもう既に唇を奪われいるのだ。
こういう仕事をしていると浮気やら不倫やらの現場に出くわすことも稀にあった。
そういうときは、我関せずに徹する。
そんなことで、感情を動かされていてはこの仕事はできない。
けれどこの寮内では、規則として性行為禁止だったはずだ。
少しだけ目を光らせておいた方がいいか、と光輝は思った。
ざっと片付けて、ドアを閉めた。
「さてと…」
隣のソウの部屋を開けるのに、少しドキドキしてしまった。
好きな子の部屋に入れるなんて役得だよな、と光輝は思う。
けれど、なるべくいやらしい気持ちを消して、平常心でドアを開けた。
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