ソウの秘密

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「うわ、凄い漫画…」 結構な数の漫画本が、壁の本棚いっぱいに納められていた。 …あれ?このイラスト… A4の用紙に描かれた美少女のイラストがクリアファイルに入っていた。 右端下に『moon』とサインがある。 「やっぱりそうだ!」 光輝は、思わず声を上げた。 …ソウくんもmoonのファンなのかな… 『moon』は、幻の同人漫画家で、一年に1度だけゲリラ的に美少女漫画を発表していた。 年齢性別不詳だけれど、とても人気があり『moon』の作品が出ているとわかった途端に、そのテナントに行列が出来る。 販売しているのはいつも代理人で、 代理人にもどんな人が描いているか知らされておらず、本当に謎に包まれていた。 光輝は『moon』の大ファンで、今までに出ている同人誌は全て集めている。 自分でも漫画を描いていて、いつか『moon』のような美しい漫画を描くのを目標にしていた。 …けど、これ観たことないイラストだな… クリアファイルをそっと持ち上げる。 「え?原画?!」 よくよく観ると原画のようだった。 やはり、ソウほどのスターになると、謎の漫画家とも知り合いになれたりするんだろうか… 光輝は、羨ましくなった。
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