【 エピローグ:距離10m 】

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【 エピローグ:距離10m 】

 今日、高校時代に仲の良かった男友達が、ここ東京で結婚式をあげる。  教会式のチャペルで行う結婚式。  僕は、大きな教会へ入ると新郎側の後ろの方の長い椅子の端っこの席に座った。  正面を見ると、大きなステンドグラスから、色鮮やかな光が差し込んで来ている。  周りではパイプオルガンの響きが気持ちを高めてくれているよう。  友達もこんなところで結婚式をあげるまでになっていたんだなと、出遅れた感を思わず感じてしまう。  ふと、新婦側の前の方の対角線上の席に視線を移した。  すると、何やら着飾ったかわいらしい女性がこちらを見て笑っている。  見覚えがある。  というか、あれから10年以上会っていないが、はっきりと覚えている。  忘れるわけがない。  あの笑顔。  笑った口元から八重歯が覗いた。  あの八重歯は反則だ。  頬に出来る笑窪も、誰も敵わない。  間違いなく、この地球には存在しない笑顔だ。  僕は思わず、持っていたスマホで、彼女にメッセージを送る。 『宇宙凛、久しぶり』  すると、彼女も僕にメッセージを送ってくれた。 『ナンデくん、ずっと待っちょったよ』  僕はその土佐弁の彼女のメッセージに驚いた。  彼女は、ずっと僕の思いを待っていたんだ。 (いつまでも、愛しちゅうよ……)  彼女の言ったあの言葉を思い出す。  ふと、スマホから顔を上げて彼女の方を再び見る。  彼女との距離は、初めて会った時と同じ。  約10m。  また、ここから始めればいい……。  その時、婚礼の音楽が鳴った。  それと同時に彼女は、  僕にかわいらしい『ウインク』をしたんだ……。 ~ ウインク★TOKYO 10mから始まった恋やき ~ (了)
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