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5ー5 脱、後宮大作戦!
「わからない相手と寝るのか?」
「うん」
カレイラは、頷いた。
「それが私の勤めだ」
ふぅん。
俺は、カレイラのことを見直していた。
どうしようもなく嫌な坊っちゃんだと思っていたけど、こうしてみればただのガキじゃないか。
「王と寝たいのか?」
「それは・・」
カレイラが、うつ向いて頬を染めた。
「王は、アルファだし・・こわい・・」
マジかよ?
俺は、笑った。
「アルファだって、同じ人間だ。別に化け物なわけじゃねぇし。そんな怖がらなくっても大丈夫だ」
俺は、王に他の側室のもとにも行くように頼むつもりだった。
こんな後宮に閉じ込められて、王の愛だけを頼りに生きてるんだ。
なのに、王は、いくら待っても訪れない。
他の側室たちもそれを愁いていた。
平等は無理でも、少しは、情けをかけてやって欲しい。
だけど。
俺の胸は、ちくりと痛んだ。
王がカレイラや、他の側室を抱くと思うとたまらなく苦しい。
俺は、カレイラを部屋へと送り出した後で、イェイガーに相談した。
「どうすればいい?イェイガー」
『主は、王の寵姫だ。今も、過去にも王が抱いたのは主だけだ。その主が思うことだ。思った通りにすればいい。それに主は、いずれここを出るつもりだったのではないのか?』
俺は、イェイガーの言葉にはっとした。
俺、いつの間にか、ここになじんじゃってたけど、俺の目標は、あくまでもここを出て1人で暮らすことだ。
「ちっ!」
俺は、舌打ちした。
俺としたことが、情にほだされちまっていたぜ!
俺は、薬師になって、いつかここを出ていくんだ!
そのためには、まず、王に捨てられなくてはならない。
つまり、王に他の側室に心変わりさせなくては。
俺は、他の側室たちを教育する決意をした。
題して、『脱、後宮大作戦』だ!
現在、後宮にいる側室は、俺も含めて5人。
俺、カレイラ、イェイリ、それに、まだあったことのないトーリとリーレとかいう双子がいた。
こいつらを鍛えて、王に献上するのだ!
そうして、王に、俺よりもいい男たちがこの世にはいることを教えてやる!
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