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5 側室教育始めました。
5ー1 弟子入り
俺は、王宮付きの薬師に弟子入りすることになった。
「また、間違えがあってはいけない」
という王のお達しだった。
要するに、1人で勝手におかしなことを仕出かされるよりは、きちんと管理しておこうということらしい。
俺は、毎日、王宮へと続く扉をくぐり、薬師の研究室へと通うわけだったが、その際に後宮の衣装は、普通の目立たないシャツとズボンに着替えていた。
弟子入りといっても、やはり護衛はつくようで、アルテミアさんの部下の人が1人、ついてくれることになっていた。
「影、とお呼びください」
その黒づくめの濃い茶色の髪と目をした少年は、俺にそう名乗った。
「影?変わった名前だな」
俺は、きいていた。
「本名なの?」
「本名ではございません。任務上の名でございます」
影が答える。
うん?
俺は、思っていた。
アルテミアさんって、ほんとは、何者なんだ?
確か、近衛騎士だとかいってたけど、そのわりに部下とかいるし、しかも、その部下が変だし!
ともかく、俺は、毎日、影に守られながら、研究室へと通うことになった。
最初、研究室の人々は、俺を好奇の目で見ていた。
王の後宮から来た側室。
やっぱり、興味をひくよな。
『気にするではない、主よ』
胸元に黒く輝くイェイガーが囁く。
俺は、お守りのようにイェイガーを握りしめてペコリとお辞儀をした。
「後宮から来たセイです。よろしくお願いします」
「うん?28才とか聞いてたんだが」
室長のレキアスさんが奇妙な表情を浮かべた。
「えらく、かわいい子がきたな」
「室長!側室様にご無礼ですよ!」
副室長のサキさんがレキアスさんを小突いた。
「申し訳ございません、セイ様」
「いえ。気を使わないでください。俺、ここでは、ただのセイですから」
俺がそう言うと、レキアスさんは、頷いた。
「わかった、セイ」
俺は、まずポーション作りを教わることになった。
「なんでも、面白いものを作ったらしいね?君は」
室長が半笑いで俺に訊ねるので、俺は、顔が熱くなった。
「い、いえ、その・・」
「いいかい?セイ。ポーション作りで重要なのは、集中力だよ。いかに念を集中させるかだ」
俺は、室長の言葉に頷いた。
材料を煎じた液体に、俺は、一心に念じた。
飲みやすくって、みんなを助けることができる薬を作れますように。
すると。
鍋の中の液体がぽうっと青く澄んだ輝きを帯びた。
「今度は、うまくいったようじゃないか、セイ」
室長がからかうように笑ったので、俺の顔がまた熱を持った。
『主は、やるときには、やる男だ』
イェイガーが隠すこともなく声を発した。
あっ。
今では、イェイガーの存在は、公にされていた。
だから、イェイガーも剣の姿をしていなくても声を消したりはしていなかった。
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