5 側室教育始めました。

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5ー3 カレイラ再び 俺は、後宮まで送ってもらうと影と別れて、中へと急いで入っていった。 辺りに影がいないことを確認してから、俺は、呟いた。 「もう、警護の人、変えてもらおう・・」 『なぜだ?主よ、影は、優秀だぞ』 「だからだよ!」 俺は、イェイガーに向かって声をあげた。 「それに、俺ごときに、そんな優秀な警護なんていらないっちゅうの!」 俺が扉の前でわーわー言っていると、ラウスが声をかけてきた。 「おかえりなさいませ、セイ様」 「あっ、ラウス。ただいま」 俺は、言った後で顔が緩んでくるのを感じていた。ラウスが不思議そうにきいた。 「どうされたんですか?セイ様」 「いや」 俺は、素直にラウスに答えていた。 「なんだか、本当の家に帰ってきたみたいだなって思ってさ」 俺には、本当の意味での家族なんていなかった。 だから、そんな風に何気なく迎えてくれることが嬉しかったのだ。 「セイ様」 ラウスは、俺の言葉にホロリとしていた。 「どうぞ、我々のことを本当の家族だと思ってなんなりと仰せくださいね」 俺が部屋に帰ると、すぐに、クレイが俺の着ている服を脱がせて、いつものスケスケ感満載の衣装を着せた。 「もっと、側室としての自覚をお持ちください、セイ様」 「はい」 俺は、奥に人の気配を感じて立ち止まった。 「誰か来てるのか?」 「はい」 クレイが頷いた。 「意外な方がいらっしゃっています」 意外な人物? 俺は、奥を覗いた。 そこには、猫じゃらしでデザスタと遊んでいるカレイラの姿があった。 「こら、デザスタ!」 カレイラは、デザスタをじゃらしながらぶつぶつ1人で言っていた。 「あんなに可愛がってやったのに!簡単に主人を捨ておってからに!」 「にゃあ!」 黒猫は、顔を洗いながら、ちらりと元主人のことをうかがっていた。 「この裏切りものめが!」 カレイラが言ったとき、俺は、カレイラに声をかけた。 「なんの用だ?カレイラ」 「ひゃあっ!」 驚いて飛び上がったカレイラが頬を染めて俺のことを見つめでいた。 「急に声をかけるなんて、失礼な!」
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