蝉と蛍

1/1
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
気が付けばもう手遅れで、 目の前の君はもう居ない。 半信半疑で過ごしてきた、 あっという間の楽しい時も。 今思えば悔やむ思いで、 陽も落ち寂しい夕暮れどき。 いつもは二人で眺めて過ごし、 星見つけてはバイバイと。 風と一緒に去る二人、 連なる街灯が滑走路。 家路に着けば思い出す、 次も笑顔で会えるかな? 今はもう幻影に、 季節は同じに汗騒ぎ。 蝉はまだ鳴かぬ頃、 蛍はまだ水の中。 土の中の年月と、 陽射しの下で鳴く時に。 蛍は黙って身を焦がし、 蝉だけ恋に騒がしく。 二人はどっちか?空見上げ、 月が出てきて笑われた。 「 恋に焦がれて鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が身を焦がし 」 ぼくは一生蝉のまま、 蛍は遠い空へ舞う。 月笑う隣に流れ星、 蛍は流れて消えてった……
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!