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地平線に夕日が沈む。赤い光が点々と灯っているのが見えた。助手が言う。
「あれが遺跡の入口です!」
赤く見えたのは、たくさんの露店の篝火だった。見つかって二日も経っていないのに、どこから集まってきたのだろう。遺跡への階段前には舞台まで設けられていて、村長らしき人が何かを語っている。若者が酒を片手に笑い合っていた。
二頭が群衆に突っ込む。人混みはワッと二手に分かれた。白いたてがみが夜闇に映える。
拡声器の電源を入れると、耳を割るような高音が流れた。人々がどよめく。村長が高らかに演説する。
「――機械文明への扉が、今、開かれるのです」
「開くな!!」
拡声器に言葉を吹き込む。満天の星々の下、フミの大音声が沙漠に響き渡った。
「みんな逃げろ!! 核廃棄物が入ってるんだ!!」
開くな!!(終)
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