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「……北の沙漠で、地の底まで続くような長い階段が見つかったんだよ。村人が降りてゆくと、突き当りに分厚い扉があった。開けようとしたけど、びくともしないらしい。表面には古代文字がびっしり刻んであった」
「私は昔の人のお墓だと思う」
リピが話に割って入った。
「文章は、きっと死者を弔うための物だよ。高貴な人が、たくさんの副葬品と一緒に眠っているんじゃないかな」
「いや、僕は宝蔵だと思う」
レターが言った。
「墓ならそこまで深い穴は必要ないって。あの大戦争から守るために、世界中の美術品を地下深くに隠したんだよ」
別の学生が言う。
「沙漠の奴らは、失われた文明の利器が入ってるって言ってたぞ。テレビや自動車や宇宙船が、オレたちを待っているのさ」
「――今日の講義は取りやめです!」
教授の助手が小屋に飛び込んできて言った。三人に声をかける。
「君たちは研究室に来てくれませんか。手伝ってほしいことがあるんです」
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