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「俺が行きます!!」
フミの大声が研究室に響いた。
「俺、声の大きさなら誰にも負けません!」
教授は意を決したように鉄棒を摑んだ。窓際のガラス箱に一振りする。四人が耳を塞ぐ。ガシャーンと鳴って、白いラッパ型の道具があらわになった。
「戦前に使われていた、拡声器という機械です。これで発掘隊に伝えて下さい」
拡声器を抱えて飛び出したフミは、ポッキリと折れた柱を見つけた。
「パロールのやつ……また逃げたな!」
「僕の馬を貸そう!」
友人が白馬の手綱をフミに握らせる。フミは彼の手を強く握り返した。
「レター、ありがとう」
助手を乗せた馬が走り出す。白馬に跨ったフミに、リピは言った。
「人類が生き残れるかどうかは、フミくんにかかってるんだよ。開いちゃいけない扉を開く前に、早く」
「今度は遅刻するもんか!」
人骨とマイクロプラスチックの沙漠を、白馬は風のように駈け抜けた。
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