case:Aさんと死後結婚したEさん

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Eさんが住んでいるのは、Aさんが用意していたマンションだった。 子供は父親がいなくても気にならないようだ。 そして、Eさんのお腹には二人目の子供がいる。 子育てに余裕ができたため、再度人工受精を用いて妊娠をしたそうだ。 「人工受精用に保存してある遺伝情報の保存期限が10年らしいんです」 二人目の子供を産むのを決めたのは、登録してあるAさんの遺伝子の保存期間を考えてのことだという。 死後結婚をして、Eさんが手に入れたものは子供との生活だった。 婚姻の関係があっても、相手は既に亡くなっているのでシングルマザーの生活と変わらないそうだ。 「温かい家庭なんて想像できないから、これで良かったんです」 Eさんはそう言って目を伏せる。 時代と共に文化や風習も変化していく。 死後結婚の前身とも言える冥婚は、戦争で亡くなった兵のための儀式だった。 遺言で死後結婚が認められるようになり、Eさんの他にも条件に合う結婚をする人が増えていることだろう。 次回はまた別のケースについて調査、検討を行う。
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