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…俺がオメガだってバレた?
いや、そんなはずない。フェロモンの抑制剤も飲んでるし、念のために強めの匂いの制汗剤も使ってる。
侑翔だって特に何も言ってなかった。
「…俺、アルファなんだけど。」
平然と、淡々と。
努めて冷静に、口を開いた。
「知ってます。噂で聞いたので。」
「じゃ、じゃあ何で、」
「性別とか関係なしに先輩が好きなんです。」
…性別とか関係なしに。
思わぬ言葉に目を見開いた俺を他所に、目の前の男は、掴んでいた俺の手に目を向け、訝しげな表情を向けた。
「…これ、」
「っ、!」
慌てて男の手を振り払い、背を向ける。
「あ、先輩、!」
見られてしまったことに激しく動揺した俺は、引き止めるその声を無視し、全力でその場から逃げ出していた。
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