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「…っ、」
「近寄らないで!!あなたを見てると吐き気がするのよ。」
「…っ、…母さん、」
そう呟いた瞬間に、頬に鋭い衝撃が走って身体が吹っ飛ばされた。
「…今度私のことをそう呼んだら家から追い出すわよ。」
頬をおさえて見上げた、母のこちらを見下ろす目は嫌悪感に溢れていた。
「…汚い子。」
ぽつりと呟くように言った母の言葉が、やけに頭に響いていた。
初めて発情期を迎えた時、俺は初めて母にぶたれた。
「っ…はぁ、…」
自分の意思とは無関係に、解放を求めて反応するもの。アルファを待ちわびて濡れる穴。
出したい、気持ちよくなりたい、と性欲ばかりに囚われる思考。
________汚い子。
「っ、なんで、…」
汚い。
アルファを求めて疼くこの身体が。
「…これだから嫌なのよ。オメガなんて。」
醜い。
オメガである自分が。
「…っ、たすけて、…」
嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、
…俺はどうして、どうして、オメガなんかに生まれてきた?
伸ばした手の近くにたまたまあったそれ。
…別に、死のうと思ったわけじゃない。
ただ、欲に溺れる頭から解放されたかった。
「…侑李、大丈夫か?」
「…」
「侑李?…………おい、返事しないなら部屋入るぞ。」
「…」
「…侑李?っ、!!おい、侑李しっかりしろ!!侑李!!!」
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