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「あの、俺と付き合ってください!」
「私と付き合わない?」
「あ、あの、私、ずっと侑李君に憧れてて、」
「相変わらず物凄いモテっぷりだな、侑李は。」
中学時代からの知り合いである二宮が、ニヤニヤしながら近づいてくる。
「てかおまえ、普通にベータの男にも告られてなかったか?」
「…あぁ、うん、、、」
嘘つきな俺は、告白される度にどこか安心していた。まだアルファの長谷川侑李でいられている、と。
「ただでさえあの、長谷川財閥のアルファの双子ってことで目立ってる上に、侑李は綺麗な顔してるもんな、…そりゃモテるよなぁ。」
二宮の呟きに、どこかチクチクと胸が痛んだ気がした。
「そう言えば、今年の新入生の代表挨拶、アルファだろうけど、やたらイケメンだったよな。」
「え、、、?」
「あれ知らないのか?」
俺の声に二宮が、意外そうに首を傾げる。
「噂になってるよ。あの長谷川家の双子に匹敵するぐらい、凄いオーラのあるとかなんとか。」
そうだったっけ…?
正直自分の代表挨拶に必死で、全然周りのことなんて見てる余裕はなかった。
「…そう、だったかも。」
二宮に曖昧に笑って見せ、早く教室に行こうと軽くその肩を叩いた。
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