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あれ?スーツ姿と言えば、夢に出てきた・・・あの人に似てない?
まさかと思いつつ、なんか期待してしまう自分がいた。
というか、ツクモさんとあたしは初対面なんだから知らないはずじゃない。
そもそもスーツ姿なんて、いくらでもいるんだし。
すると、あたしの肩をとんとんと叩く音。
ツクモさんだ。
「あっあの!初めましてツクモさん!!えっとあたし・・・神原理緒といいます!リオって呼んでください!あの、あのそしてすみません!ほんと、雨宿り程度でお世話になってしまって。すぐに帰りますんで!はい!もうそれはそれで!!」
変な緊張のおかげで、思わず変な自己紹介をいきなりしてしまった。
ヤバイ・・・こっちこそ変な人だと思われそう。
そして、頭を上げつつ・・・ツクモさんの顔を拝見する。
「こんにちは。リオさん・・・僕がこの屋敷の主・九十九(ツクモ)。よろしくね。」
ずいぶんと幼い声があたしの頭の真上で響く。
頭を上げるとそこには15~6才程度の、スーツに身を包んだ少年の姿があった。
黒い靴に、黒いズボン、赤い燕尾服のジャケットに白いブラウス。
不思議な、不思議な少年。
そして、黒く・・・闇に同化するほどに染まった黒い滑らかな髪に、黒い瞳。
幼さが幾分か残るその声はあたしの耳に、すっと入ってきた。
子犬も、あたしも目が点になる。
だって、身長はどう見たってあたしよりちょっと低いぐらい。
あたしが165cm程度だから、150くらい?
どう見たってあたしより年下のこの子がこの大きな屋敷の主だなんて。
「あっあなたが・・・ツクモさん?」
「フフッ、そうだよ。驚いた?」
無邪気な笑みを浮かべて、ツクモさんはあたしを見ていた。
「驚くも何も!!」
「キミはどうやら高校生みたいだけど、僕はこれでもキミより一応年上。昔から童顔で、年下に思われてたから慣れっこだけどね」
ユメミさん同様、ツクモさんは聞いてもないことをどんどんと話している。
年上って・・・なんだか、年齢恐ろしくて聞けなくなった。
なんていうの、そう、無言のプレッシャーっていうのを肌で感じ取ったから。
なんとなく18くらいって感じで無理矢理頭の中でこじつけしておいた。
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