Night Necro

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「こぉら!現太!修業ほっぽり出して、お前は何してたんだ!!」 「じっじいちゃん!!ごめんよおお!!」 「まったく仏に仕える身でありながら、なんじゃその髪の毛の色は!今日こそ、その下らん髪の毛を一本残らずバリカンで刈ってやるわ!!」 「わわわ!やめろよよおおおおっ!!」 一方、こちらは・・・リオをほっぽり出してしっぽ巻いて逃げ帰った幼馴染・現太のお寺。 リオの説明にもあったが現太の家はこの近所でも大きなお寺で、住職は現太の祖父である塩見 現宗(しおみ げんそう)その人である。 (ちなみに、現太の両親は寺を継がないで商社マンになって、海外に赴任中) そんな経緯もあり一応名目上現太が、この寺の跡取りとなるわけである。 そして付け加えるならば現太の祖父はリオの祖父の幼馴染でもあり、幼いころからリオのことを本当の孫娘のように可愛がってくれていた。 (実の孫息子・現太に対しては、毎度毎度厳しいみたいだが) 「ごっごめん!ごめん!!でもさ、リオの・・・あいつのせいなんだよ!あいつがあんなとこに行こうなんていうから!」 「お前、小さい頃からリオちゃんのせいにしおって! リオちゃんはなあ、頭がすっからかんなお前より何十倍も頼りになるわい!そんなリオちゃんがお前をどこに連れて行こうとしたんじゃ!!」 そういうといつも現宗は、座禅用の警策でバシバシ現太を打ち始めようとしていた。 しかし、今回ばかりはちょっとばかり事情が違かった。 「あっあの・・・お化け屋敷だよ!あの小さいころ、オレとリオが迷い込みそうになった!バイト先の近道になるからって!!オレ、もう怖くてさ。おっかねえじゃん!」 その現太の一言で、現宗は硬直した。 警策を持つ手を、思わず緩めてしまう。 現太は驚いた表情で自分を見る祖父に驚きを隠せないといった表情だった。 厳格で何事にも物怖じしない頑固男―それが現太のイメージの祖父・現宗だったからだ。 「お前、リオちゃんを置き去りにしたのか・・・」 「だから言ってるだろ、っていうかオレのせいかよ!!でっでも行きたくねえよあんなとこ。あのずぶといリオのことだからあっさりあんなとこ通ってめでたしめでたしだろ!」 「馬鹿者!!そういう問題ではない!!」 そう言うと現宗は警策で勢いよく、孫息子の頭を殴りつけた。 現太はそのまま意識をなくして、倒れこんだ。 「そういう問題ではないのだ。『ツクモの館』・・・ まだいるのか・・・ツクモ!!」
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