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「神原・・・権兵衛・・・リオ・・・」
「ご主人?どうかなさいましたか?」
「ユメミ、彼女はここに来るべきしてきたのかもしれないね」
「まさか・・・!」
「権兵衛のお孫さんが来るなんて。時間が過ぎるのは早いよね。本当に。」
ゴンベエを撫でながら、ツクモは目を伏せた。
するとその時、ツクモは自分の背後にいる『何か』を感じ取った。
ユメミもそんなツクモの姿を感じ取って、何かを覚悟した表情になる。
ゴンベエはツクモの尋常じゃない様子を感じ取ったのか、少し驚いた表情をしていた。
ツクモはユメミに目配せをする。
ユメミは、すぐさまソファの下にある古ぼけたトランクを引っ張り出す。
そして、トランクのなかにあるものをすかさず組立、ツクモに素早く渡す。
組み立て式になっていたのは黄金のステッキ。まるでどっかの怪盗が持ってそうな代物だ。
ツクモのスーツ姿と相まって、よけいにそう思わせるのかもしれない。
ユメミは軽く礼をし、ゴンベエをツクモから預かり一歩下がった。
ツクモは先ほどまでユメミやリオに見せていた、穏やかな表情を隠し、
するどい目つきで相手の出方を追っていた。
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