Night Necro

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「で、何がお願いなんだって?単位かあ?神原!!」 そこに響くのは大きなげんこつの音。 そう、そうやっていつもあたしは現実の教室に戻ってくるのだ。 あっこの光景はいつもじゃなくてときたまね、ときたま。 周りにいる友達やクラスメイトはいつも大笑いだけど 笑いものにされるのって結構きついんだよね。 でも、寝ていたあたしが悪いことは事実だけど。 でも生徒が寝るような授業をする担任も悪いんじゃとか考えていると、あっという間に授業終了。 あっ自己紹介が遅れた。 あたしの名前は神原 理緒(かんばら りお)高校2年生。 きわめて普通の女の子と言いたい。本当は。 でも、今は若干普通じゃないかもしれない。 これには理由がいくつかあって。 まず、理由のひとつ目は。 毎回夢に出てくるあの光景。 特にここ最近はずっと。 あんな授業中の昼寝の時間まで出てくるんだからすごいよね。 2度、3度はそういう出来事ってよくあるけれど。 さすがに毎日は堪える。 っていうか、疲れる。 医者に行った方がいいのかもしれないけれど、そんなお金ないし。 えっ、お金ないってどういうことかって。 まあこれがあたしが普通の女子高校生と違う理由その2だったりするんだけど。 「リオ!今日さ、早く授業終わったからゲーセンとかカラオケとか行かない?」 毎度のごとく、そんな風に友達が誘ってくれる。 誘ってくれるのは嬉しいんだけどね。 「ごめん、今日は無理なんだ・・・バイトで」 「また~これで今月何度目よ」 「ごめんごめん、でもさうちお金なくて・・・あたしが稼がないとっていうか、あたししかいないし。」 そう、お金を稼ぐのはあたししかいない。 というか、家族は今あたし一人。 両親は小さいころに事故で亡くなってる。 思い出という思い出もないままにだったから、悲しみも何もないのが現実。 で、その後あたしを育ててくれたのがおじいちゃん。 怒ると怖かったけど、あたしを本当の娘のように育ててくれた、大切な人。 おじいちゃんと二人のつつましい生活だったけど、毎日が楽しくて仕方なかった。 あたしがこの高校に合格したことを真っ先に喜んでくれたのもおじいちゃん。 幸せだった。 けれど、それは本当にあっという間のことだった。 おじいちゃんはあたしの入学式を見る前に、交通事故で亡くなった。 あたしは、一人ぼっちになった。 頼れる親戚も少なくて、今もあたしはおんぼろアパートで独り暮らしをしている。 家に来ないかって誘ってくれた知り合いもいるけれど、迷惑はかけられないと思った。 それに、いずれ遅かれ早かれ人間自立するもんだし。 あたしはそれが人よりちょっと早くなっただけ。 おじいちゃんも、おとうさんも、おかあさんも一応ぎりぎり生活できるお金は残してくれてたし。 でも流石にそれでも学費は賄えないから、週3日アルバイト生活。 疲れるけれど、やりきるって決めたからには頑張らないとね。 そのせいで、友達と疎遠になっちゃうのはちょっと辛いけど。 あと、成績が落ちてるのもやばい。なんとかしなきゃ。 けど、眠いのよね。例の夢を中心にしたせいで。
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