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「オイ、リオ・・・しっかりしろよ!」
頬を軽くたたく音がする。
薄く目を開けると、目の前には現太の姿があった。
意識がくらくらしていて、まだ回りの様子を伺うことはできないけれど鼻から伝わるヨードシンの匂いで、保健室に担ぎ込まれたのだということはよくわかった。
「神原さん、少しあなた休んだほうがいいかもしれないわ。先生には私が言っておきますから」
メガネの保健室の先生が心配そうな表情であたしに言った。
「はい。でも病院にも行ってるんですが」
「なかなか薬が効かないのね。ちょっと先生もいろんなところに相談してみるわ。」
「ありがとうございます」
「あっ先生、俺・・・付き添ってやってもいいですか?こいつ、家に帰ると誰もいないんで。ていうか、お前、俺んち来た方いいよ。じいちゃんもいるしさ」
いつもチャラい現太もこの時ばかりは彼女のあたしのことを心配してくれてるみたい。
気持ちは有難かった。でも、あまり迷惑はかけらなれない。
「ありがと、でも・・・家で一人で休んでたほうが気が楽だから。心配しないで。明日からちょっと休むけどノート取っておいてよ。」
「夜に電話くれよな。すぐにじいちゃんと行くから。あっ食べ物はどうすんだよ?お前今日、何も作れないじゃん」
「食欲ないから適当にコンビニのヨーグルトでも食べて済ますわ。買い物、付き合ってくれない?」
「だったら、家まで送ってやるよ」
「ありがと」
普段はチャラいふりしてるけど、こういうときは案外頼りになるのよね。アンタって。
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