Night Necro

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結局、あたしは早退することになった。 現太につれられて、軽く買い物をして。 分かれ道までついてきてくれた。 あたしの家は分かれ道のすぐそこだから、そこまでの送り迎えは別にいらない。 そういって、現太と別れた。 あいつにも授業サボらせて悪いことしちゃったな。 ほんと、周囲に迷惑かけっぱなしだなあ最近の自分。 「ワン!」 その声とともに、あたしの目の前にドンっという音が響いた。 あたしはしりもちを思わずついてしまう。 目の前にはゴンベエがあたしの頬をペロペロと愛おしそうに舐めている。 「ゴンベエ!どうしたのこんなところまで! ツクモさんとユメミさんが見ててくれてるはず・・・だよね」 「ワン!ワン!」 そういうとゴンベエはニコニコしながら首輪を見せてきた。 綺麗な赤色の首輪を見ると、名実ともにツクモ家の飼い犬になったのだなあと思った。 すると、ゴンベエは何か言いたげそうにあたしを見つめている。 「どうしたの、ゴンベエ?ツクモさんたちが心配してるよ。ひょっとして道が分からなくなったとか」 「ワン!」 元気に答えるゴンベエ。意外とちゃっかり者のこの犬にちょっと肩がガクッと下がった。 仕方なく、あたしは眠気を引きずりながらゴンベエをツクモ家へ送り届けることにした。 「あれ、リオちゃんじゃない?それにゴンベエ!」 屋敷の門をくぐると、ちょうど庭掃除をしていたユメミさんがいた。 「ユメミさん。ゴンベエが逃げ出してたんで、届けにきました」 「あらあら、どうもありがとう」 苦笑いをしながらユメミさんは答えた。 服装は以前初めて館で会った時の服装のまま、深紅のメイド服がやけに目立つ。 館にいたときはそんなに思わなかったんだけど。 ゴンベエを抱きとめながら、あたしは立ち上がった。 「それにしてもこんな時間にどうしたの?まだ3時前だけど」 ユメミさんがあたしに尋ねる。 確かにこんな時間にいるのは不思議だよなあ。 「いやあ。実はちょっと体調不良でして。 本当はゴンベエにも会いに行きたかったんですけど、ごめんねゴンベエ」 「そうなの。あれから何の音沙汰もなかったからご主人もが何かあったのかって心配していたから、無事だっただけでもよかったわ。あと、ゴンベエもね」 「ワン!」 ユメミさんがそう言うとゴンベエはあたしに会えて、 楽しそうに尻尾を振って喜んでいた。 「でも体調不良って風邪とかかしら?」 「いやあ、お恥ずかしながら寝不足?でして。毎日悪夢見てうなされて、起きて、そのままみたいな、ハハ・・・」 「そう・・・」 寝不足の反応を聞いたユメミさんは少々深刻な顔つきになった。 何かあるんだろうか? そう聞きたそうなあたしの表情を察したのか、ユメミさんはおもむろに口を開いた。 「こんなことをいっては何だけれど、ご主人が出てくる夢のこと・・・聞きたいのかしら?」 やっぱり。あの夢に出てくる人はツクモさんだったんだ。 驚きより、むしろ確信に変わったあたしは意を決してユメミさんに尋ねた。 「教えてください!ツクモさんが何で出会う前に夢に出てきたのか。そして、どうしてあたしがあんな夢を毎日見るのか!!っていうかどうして今まで黙って!」 どんどん攻め立てるような口調についついなってしまった、一方のユメミさんはというとあたしに対して申し訳ないといった顔をしながら答えた。 「ごめんなさいね、今まで何も言わなくて。全部は話せないけれど、貴方のことはきっとご主人が何とかするから」 「ワン!」 ゴンベエも一緒になって答えてくれた。 「本当ですか」 「本当よ。とりあえず、話を聞かせてもらえないかしら。」
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