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「おじいちゃん・・・」
ツクモさんはおじいちゃんをにらみながらも、左手を引いた。そして毅然とした態度であたしに問いかけた。
「さあ、どうする・・・?」
「えっ?」
「ここには地獄から抜け出せない君のおじいさん、そして得体の知れない僕がいる。さあ、君はどちらを信じる?僕を信じるか、おじいさんを信じるか、誰も信じないも君次第だ。」
「あたし・・・次第」
あたしの大切な人。
友達が周りにいても、幼馴染の現太が彼氏になっても、現太のおじいさんにやさしくしてもらっても埋まらなかった心の溝。
それはおじいちゃんと、大切な家族。
一人暮らしになったとき、いつも帰るオンボロアパートが寂しく見えた。
ずっと我慢していたけれど、つらかったんだ。本当は。
おじいちゃんがいないあの家に。
身近な家族が誰一人としていないあの家に。
あたしを、大切に思い、そして、あたしも大切に思う唯一の相手。
それは・・・
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