Night Necro

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はあ、早く安心して寝たい。 そんなことを思ってると、急にあたしの髪をぐいとひっぱりどついてくる奴が一人。 「なにやってんだよ~リオ!まだ寝起きか?ん?」 「現太・・・あんたねえ。もうちょっと彼女のこと、思いやってくれてもいいんじゃない?」 このいかにもチャラっぽい金髪ツンツン男は現太(げんた)。 幼馴染で兼一応あたしの彼氏ってことになってる。 近所の寺の息子で、只今よくある反抗期真っ最中ってことかな。 でも、ヘタレだから、暴走族やヤンキーになる気力はないのよねえ。 まあそういうやつだからこそ、お目付け役として付き合ってるって感じ。 海外に出張に出ている現太の父さんと母さんは、あたしのことを実の娘のように思っているみたいだし。 (光栄といえるのかは果てしなく微妙なところだけれど) そもそも現太のおじいちゃんとあたしのおじいちゃんが親友だったりというサイドストーリーがあったりするけれど、ここは割愛。 「で、何をしてほしいんだよ?キス?それとも・・・」 「あーそういうことじゃなくて、そうそう・・・たとえば今日、あたしが寝てた授業のノートをくれるとか」 「・・・俺が?ノートを?授業中に?取ると思う?」 「冗談よ。天地がひっくり返ってもあり得ない。万年赤点のあんたに期待したあたしが馬鹿だった」 そう、こいつは不良の成り下がり。 あたし以上に勉学というものに興味がない。 学校に来てるのにね。まあ、体育だけは5みたいだけど。 そんな奴に期待するのも馬鹿らしいじゃない。 女友達は協力してくれるけど、「たまには自分でやりなさい」って突っぱね返される。 ああもう、どうすりゃいいのよ。 「どうせ、今日もバイトなんだろ?」 「ええ、そうですよ。それが?」 「せっかくこう恋人って関係なんだからさあ、たまには・・・二人っきりで」 「まっ、今日は少し時間あるからいいか。遠回りになるけれど、一緒に帰ってあげる」 「おっ、サンキュウ!」 「ただし、寄り道はだめ。お金を無駄に使いたくないの。わかった?」 一応の釘を刺しておいて、あたしたちは帰ることにした。 まあこいつ、ヘタレだから妙なことしないというかできないし。
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