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「・・・でさー・・・じゃん!で、奴の顔がおもしろいのな!!ハハハ!」
「あーはいはいそうですか」
現太との帰り道、こいつの話すよく分かんない話をあたしはいつも右から左へ聞き流す。
本人だって、あたしが聞いてないってことわかってるし。
どうも恋人同士という関係なはずなのに、あたしたちって希薄な関係なのよね。
友達に話すと「それって倦怠期?ってやつじゃない」とかからかわれるけど。
そういうもんなのかねえと。物思いにふけってみる。
そんなこんなでふと、空をぼんやりと見上げてみるとなんだか怪しい雲行きになってきた。
ああ、そういえば昨日天気予報で明日は突発的な雨になる可能性があるとかないとか言ってたっけ。
洗濯物を取り込むのを忘れてたとかそんなことをついつい会話中考えてしまう。
するとあたしの頬にぽつ、ぽつと水滴が落ちてきた。
雨が降ってきたってことですか?
「現太?雨降ってきてない?」
「えっ、雨?ああ、そういや今日降るって言ってたっけなーでも、大丈夫だよ。どうせ俺らが帰る時までは止むんだ・・・ろ・・・」
現太がその言葉を言いきらない間に、大量の雨がいきなりあたしたちを襲ってきた。
どうやら一過性は一過性だけど、俗にいう通り雨っていうものだったらしい。
一応折りたたみ傘をさすけれど、全く無駄というか無意味というか。
そりゃ滝のように流れる雨じゃ押しつぶされそうになるわ。
あたしたちは急いで走って帰ることにした。
傘を差しながらね。
「なんなのよお!もうー!!」
「そんなのこっちだって聞きてえよお!」
二人で天気に恨み言を吐きつつ、道を駆けずり回る。
早く屋根のあるところへ行きたい!!と思いながら。
で、ここであたしがふとあることを思いついた。
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