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「ご主人~久しぶりのお客様です。2名様ですよ。
ふふふ、冗談じゃありません。本当ですってば。」
なんだか独り言のようにきこえるユメミさんの会話。
でも、ドアがその後にかってに開いたってことはユメミさんのほかにもう一人いるってことだよね。
屋敷のご主人様っていうのが。
あたしは子犬を抱き上げたまま、ユメミさんに連れられるまま屋敷の中に入ろうとした。
あっ入る前に、申し訳程度の表札がかかっていたので、読んでみた。
「九十九・・・んー「きゅうじゅうきゅう」さんってこと?」
目の前の子犬に聞いてみても、子犬はきょとんとした顔。そりゃそうか。
もし隣に現太がいても同じ反応しそうだけど。
でもなんか違うんだよなあ。これ、なんて読むんだっけ?
そりゃ数字で「きゅうじゅうきゅう」って読むのは小学生でも分かる。
ない頭を絞っても答えは出てくるはずはなかったけれど、考えずにはいられなくなる。
そういうことってたまにない?
「ご主人様のお名前ですよ、それ。」
ユメミさんが表札の前でうんうんうなっている私に気が付いてそっと教えてくれた。
「えーと、「きゅうじゅうきゅう」さん・・・じゃないですよね。」
「ええ、ご主人様の名前は九十九(つくも)。ツクモ様ですよ」
「ツクモ・・・さん」
屋敷のご主人様の名前を聞いて、ちょっと緊張する。
ツクモさん・・・いったいどんな人なんだろう。
怖くなければいいなというか、人間であればいいな・・・はは。
そんなことを思いつつ、ユメミさんの案内でお屋敷の中へと案内された。
奥は真っ暗でよく見えないが、ユメミさんが明りを向けるとそこには大きな階段があった。
「はは・・・ほんっとおとぎ話のお屋敷の風景だね。こりゃ・・・」
「ご主人~ご主人~お客様をお通ししましたよーお姿を見せてくださいー」
ユメミさんがそういうと、奥の方からカツン、コツンと靴の音がする。
ツクモ・・・さん。
そういうと、影がどんどん近づいてきた。
スーツ姿っぽく、そして妙にスレンダーな体系みたい。
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