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生まれ変わったら何になりたい?
燃え盛る炎の中で、男は体を引きずりながら玉座まで近づこうとする。
しかし腹に穴が空いた状態で片足ともなれば、それも叶わない。
やがて男はその状況に見合わぬほど美しい星空に背を向けて倒れ、かつて輝いていた大理石を黒く染めた。
起き上がろうとするが指先ひとつ動かすのがやっとだ。
傷のせいか、それとも自分を囲む炎のせいか、先ほどから熱くてたまらない。
崩壊した建物によって玉座への道が断たれたのを霞む視界でとらえる。
息絶えるその瞬間、男に訪れたのは絶望を超えた空虚であった。
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