2.煙草

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「京くんが呼んだんです?ユキヒラさん」 「んー…?呼んではないかな。会えたらいいなとは思ってたけど、来てくれるとは思ってなかったよ」 「えー?そうなんすかぁ」 朝吹くんは表情ひとつ変えはしない。 まるで昨日のことなんて大したことじゃなかったみたいに、怖いほどにいつも通りだ。 「それで雪平さん。僕に何か用だった?」 「えっ」 「雪平さんが来るなんて珍しい……ってか初めてでしょ。なにか、相談したいことでも?」 違うの、朝吹くん。 あなたに無性に会いたかった。 ただ、それだけで。 「……う、ううん。なんでもないの、忘れ物して前を通ったから、少し覗いていこうと思っただけ」 「ふうん。そっか」 自惚れすぎなんだ、私が。 たった1回、深いところに触れただけ。 たった1回の戯れで、朝吹くんを知った気になってしまうなんて。 私だけが意識していることを嫌でも実感してしまい悲しくなる。
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