1.刻印

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* あまりにも優しい夢心地に、いつまでも溺れていたいと願うほどだった。 不規則に与えられる温もりは、私の頭を流れてはまた戻ってくる。気持ちよさの中でゆったりと目を開け、そこで初めて自分が寝ていたこと気がつく。 「……ん、」 「あ、おはよう。雪平さん」 瞼を持ち上げた先、天井の光を影にして私を顔を見下ろすのは朝吹くん。彼の顔を見た瞬間、全ての記憶が脳へ引き戻され、私は固まる。 「雪平さん、途中で気失っちゃったから驚いた」 なんて言いながら朝吹くんは柔らかな笑顔を見せる。私の頭を撫でていた彼の手が、そのまま額へと乗る。 「熱はないみたいでよかったよ」 冷たい指先が心地よいのと同時に、花弁一枚すら無碍にできなさそうな指が私の中へと入り込んだのだと思い出し、ひとり赤くなる。 ゆっくりと起き上がると私も朝吹くんも服を着ている。私は両手で顔を覆う。朝吹くんの顔が見れない。
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