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「その……ごめんなさい…」
絞り出すような声で言って、自分が何に謝ってるのかわからなかった。
朝吹くんほどの人と私が一線を越そうとしたことになのか。そんな朝吹くんに求められたくせにいざとなったら気を失う小心者ということにか。
でも、何よりも、朝吹くんに飽きれられてこれっきりになることが怖くて謝ったのだった。
「朝吹くん、ごめんなさい……私、その、頑張る、から。……だから、」
真っ暗な視界の先で言葉を連ねる。目の前の朝吹くんがどんな顔をしてどんな気持ちなのか皆目検討もつかない。
泣きそうだ。情けない。
いつもこういう時、自分が嫌いだと心底思い知る。
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