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朝吹くんは、今日は図書室に来てくれなかった。
毎日のように話し相手になってくれていたから勘違いしていたけれど、朝吹くんと図書室で毎日会おうね、なんて約束をした記憶はどこにもない。
ただそれが日課になっていて、私のとっての楽しみでもあったから、少しだけ寂しいと感じてしまったのだ。
図書委員の仕事を問題なく終えたのが18時過ぎのこと。いつも通り帰れば良いものを、私は何故か生徒会室に足を運んでいた。
明確に招かれたわけでも、「来てよ」ってお願いされたわけでもなかった。
「だいたい放課後はいつも生徒会室にいるよ」って、たったそれだけの情報を教えてもらっただけなのに。
昨日の今日で朝吹くんに会うのは恥ずかしいと思いながらも、朝吹くんも私と同じ気持ちだったらいいのにって、そんな淡い期待を抱いて。
それで、欲望のままに、生徒会室に来た。
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