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俯いていると、どことなく視線を感じた。
隣からではない。私の斜め前……生徒会には少々そぐわない赤髪をした、八重歯が特徴的な男の子の方。
顔をあげると、繊維までなめ回すように見つめられた。クリっとした大きな目が私を捕らえている。
「じろじろ見すぎ。ミヤ」
「えー、だって。やっぱ顔がかわいくてー」
朝吹くんの低い声が入る。そんな中、朝吹くんが紡いだ赤髪の彼の名前が、少し気になった。
「…みゃあ…?」
「ん?」
「みゃあ…って、お名前……じゃないです、よね?」
朝吹くんは少しだけ舌足らずで、前の音と連なって聞こえることがよくある。
みゃあって、そんな名前があるなんて聞いたことがないけれど、彼のあだ名だとしたら可愛いなと、そんなことを思ったのだ。
私の問いかけに、みゃあと呼ばれた彼は「あははっ」と可笑しそうに声をあげた。
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