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佐原家
佐原家の朝は賑やかで凄まじく弱肉強食の世界。
「ねぇ!遅いって!早く洗面所どいて!」
「万希姉は化粧でしょ?部屋でしなさいよ。」
「髪の毛乾かすのよ。」
「朝シャンしたの?時間ないのに?まさか…朝帰り?」
ニヤニヤした顔の十和子が言うと煩いわねと声が響いた。
「万希姉、ご飯まだでしょ?準備してあるからソファで食べてよ。その間に髪乾かしてあげる。」
ひょこっと洗面所に顔を出して声が聞こえると、万希子と十和子は同時に振り向いた。
「いっちゃん、おはよ!いいの?助かる〜ありがとう。」
「ううん。私は時間あるから。」
「いっちゃん、私のお弁当は?」
「十和姉のお弁当、鞄の横に置いておいたよ。十和子ちゃんの大好きな梅味の唐揚げ入れてあるからね。」
「ありがとう!!いっちゃん大好き。」
「んーーー」と二人の姉に両方から抱きしめられて、急いで!と二人を引き剥がす。
「十和ちゃんは時間、万希姉は早く乾かさないと!!」
リビングに移動すると、すれ違いで洗面所に百都子が行く。
「いっちゃんのおかげで助かったぁ。忙しい朝の時間に狭い洗面所で取り合いとか勘弁だよねぇ。」
クスクス笑いながら、朝食を済ませて歯磨きをするらしい。
四姉妹は毎日、朝から戦争みたいだ。
佐原家は父と母、28歳を筆頭に2歳差の上から四姉妹、そこから3歳下のいっちゃんと呼ばれる自分とさらに3歳下に弟の寿文がいる。
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