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父親は都市銀行に勤めていて、元からの性格だと思いたいが数字に細かい。
お金は勿論だが、時間、年齢、日付け、全てにおいて数字という物に細かい。
そんな父が初めて生まれた子に付けた名前が「万希子」。
2年後の次女に「千花子」。
さらに2年後の三女が「百都子」。
男の子を!と望んで願って産まれた2年後の四女に「十和子」。
これで最後だ!男の子だ!!と願った偶然に出来たおまけの3年後、生まれた子に数字の「一」を付けて「一姫」。
男の子だったら「一輝」にするつもりだったらしい。
ガックリしながらの3年後、また予想外に子供が産まれた。
念願の男の子で数字がもうないと頭を悩ませた父は、一銭の銭はあんまりだしと、「一文」から「寿文」と名前を付けた。
おめでたいの「寿」に数字がないので「一文」の「文」。
父曰く、お金に困らない様にという気持ちが込められているらしいが、多分、後付けだと佐原家はみんな思っている。
五女一男の総勢八人でわいわいと賑やかに暮らしている。
他の家族と違うところといえば、少し変わり物の父と、うっかりさんの母、容姿端麗、頭脳明晰、才色兼備、錦上添花、一笑千金などなど、どれもピッタリ当てはまる四人の姉達はご近所でも評判の出来の良い娘達。
五番目は残り物しかなかったのか…普通である。
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