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次女、千花子の目
「ただいまー。一姫ー?ご飯あるかなぁ?」
玄関を上がり長い廊下を進み、台所直結の右手のドアを開ける。
「いない。」
ガックリしているとバタバタと階段を降りる音がして、リビングのドアが空いた。
玄関から真っ直ぐ、左側に階段、右側に廊下。
声が聞こえて降りて来たのだと分かる。
「千花姉、おかえり。ご飯、すぐ準備するね。」
「ありがとー!もうお腹空いて死にそうだった。」
「泊まりになっちゃったもんね?お父さん心配してたよ。今日はもう行かなくていいの?」
「夕方に顔を出す。時間測って実験してるから気になるし。」
ダイニングテーブルで項垂れていると、お味噌汁とご飯、卵焼きに切り干し大根の煮物が出て来て温かいお茶が置かれた。
「ごめんね、おかずが少なくて。寿文がすごく食べて学校行っちゃって…。」
申し訳なさそうに言うので首を振った。
黒髪のロングストレート、千花子の自慢の髪で、一度は実験中に邪魔だなと切ろうかと考えたが家族に反対された。
一姫だけは切っても切らなくても千花姉は千花姉だよ。イメージ変わっていいかもね?
と言ってくれていた。
悩んでいたので切るのは止めた、長くて短くても私は私だし…そう思えたら考えるのが馬鹿馬鹿しくなった。
「十分、お腹いっぱいになるわよ。今からシャワー浴びて寝るだけだしね。一姫、出掛けるの5時?」
「そうだよ。」
「3時に起きて来なかったら起こしてくれる?支度して4時には家を出るわ。」
「分かった。3時ね。」
食べてて、洗濯物途中なのと笑顔で言い、一姫は台所の横の扉から廊下へ出て行った。
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