次女、千花子の目

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会社、学校、みんながいなくなった家で、一人で家事をしている。 高校卒業して一番下の妹はみんなのサポートをしながら、他人と距離を置いて生活している。 (あんなに可愛いのに!!普通ってなに?あたし達はちょっと造形が派手に産まれただけで、あの子は十分可愛いわよ!!) 大学卒業後、残って博士課程を取るために研究に明け暮れている理系女子。 人付き合いが苦手なのは同じだが、研究なんてと言われる事は多くて、一姫は一番最初に応援してくれた。 千花姉、カッコいい!! 笑顔で素直なあの一言が進学に悩んでいた私をどれほど勇気付けて、喜ばせたか一姫は知らないだろう。 私は勇気を貰ったのにそれなのに…大事な妹を守れなかった。 今も心がズキリと痛む事がある。 一姫と長女の万希子は9歳歳が離れていて、次女の私とは7歳違い。 小学校もすれ違いで、家での一姫しか知らなかった。 外へ出て何を言われて、どんな噂話をされてどんな目で見られて…そんな事を考えた事もなく、五人で外へ行く事は滅多にないし初詣で一緒に行った位で、二歩程度、後ろに離れて歩くのはコンパスの差か一姫が小さいから鈍臭いからだと、ただしょうがないなぁ、と笑って見ていただけだった。 気付きもしなかった…一番末の妹が、姉妹揃って出掛けるのを嫌がっていた事、周りの目を気にしながら小さくなっていた事、大事な可愛い妹なのに気付いてあげられなかった。 家の中で可愛がるだけ…そんなの何の役にも立たないと今なら分かる。 (だからあんな事が……。) 母は9時からパートに行き、父も長女も三女も会社、四女は大学、寿文は高校、それぞれがそれぞれの場所に行くが一姫は朝早く起きて、お弁当を作り母と朝食の支度をし、みんなを送り出して家事をして、昼前から2時間ほど仮眠をする。 夕方から出掛ける。 薄暗い方が目立たないからいいとか……。 私が一姫の歳の頃には、大学に入って友人と遊んだりもしていた。 申し訳なさと苦しさが胸を軋ませた。
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