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「…知ってて無視するの?」
「お前は俺に野郎とヤレってのか?」
「そういう訳じゃ…!」
「そうだろーがよ!
良いから俺にもキスさせろ。」
「何でそーなるんですかっ!?」
「…いや、お前からしろ。」
「えっ…!?」
思わぬ展開に顔が一気に熱くなる。
「俺の…
俺だけのオモチャだっていう証拠を見せろよ…
シャブ打たれて、廃人になりたいか?ぁん?」
暁さんは、ソファに座り私を引き寄せる。
けれど、そこからは私の瞳じっとを覗き込むだけで、キスしようとしない。
えぇーい!
女は度胸よ!
私は唇をそっと暁さんの唇に合わせる。
だが、そこから…
彼は私の口を自身の唇で開かせ、ねっとりとした舌を入れ込んで、口内をまさぐった。
「ん…ふぅ…」
私の口からは僅かに喘ぎ声が溢れる。
あの甘い香りが、私の本能を鈍らせる。
脳からは、ここから逃げろ、ソイツは危険だ、と指令が出ているにも関わらず、私は甘い香りのする彼から離れる事は出来ないでいた。
食虫花の蜜に虫たちが集まり、捕らえられるように、私もまた、暁さんの身体の芯が甘く疼くようなキスに捕らえられていた。
暁さんは、5分いや、10分後、私を離すと、蕩けきった私の顔を見て、満足そうに微笑んだ。
そして、耳元で囁いた。
「お前は俺のものだ。」
と。
そして、鼻歌混じりに水を取りにキッチンに行った。
私は呼吸を整えて、あの甘い香りのキスを忘れようと努力した。
「なんだよ、足りなかったか?」
クスクスと笑いながら、暁さんは私の黒髪を撫でた。
やめて…
優しくしないで…
もっとひどく…
イッソノコト…オカシテクレタラ…ニクメルノニ…
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