1

3/4
前へ
/84ページ
次へ
え…? 拳銃…? と、思った時には、私に銃口を向けられていた。 走馬灯のようにこれまでの人生が駆け巡った。 私はほんの数秒で、人生の終わりを覚悟しなくてはならなかった。 そして… 引き金が引かれた。 鋭い爆発音と共に、2人の男が頭を撃ち抜かれていた。 え…? 私…は…? 手も足も付いている様だ。 どこも痛む所は無い。 私は一気に緊張が解かれて、その場に座り込んだ。 心臓はバクバクと鳴り、冷や汗が止まらない。 だけど、生きている。 「射撃の腕は鈍ってないようだな。」 「お陰様で。」 背後からそんな談笑が聞こえる。 私は強張る表情で、ゆっくりと後ろを振り返った。 「殺しますか?」 銀髪の男が私に再び銃を向ける。 「いや。 お前はあっちの死体の処理を指示してくれ。 この女は、俺が決める。」 そう言われた、銀髪の男は私に冷たい視線を送りつつ、死体の元に向かった。 「おい、お前。」 黒髪の長髪のその男は、私の頬をペチペチと拳銃で叩きながら、そう言った。 「イタッ…」 「ふん。 お前はどこの組の回し者だ?」 「組…? 回し者…???」 「何も知らないのか? お前さんが運んでいたのはな、覚醒剤、だよ。」 「覚醒剤…!?」 そう、私はどこかのヤクザの運び屋をさせられていたのだ。 「本当に何も知らないのか?」 私は首を縦に振る。 「乗れ。」 「え…?」 「車に乗れと言っている。」 男は首で高級車の1台を指しながら、そう言った。 私は、腰が抜けたのを何とか悟られないように、ふらつきながら、黒の車の後部座席に乗り込んだ。 乗った瞬間、ロックがかけられた。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1624人が本棚に入れています
本棚に追加