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起きた時、私は洋服を着ていた。 あぁ、暁さんが着せてくれたんだ… と、思ってちょっと赤くなる。 暁さんはまだ、眠っているようだ。 私より後に起きるのは、珍しいな。 そう思ったけれど、暁さんを起こさないようにベッドを降りて、洗面所の後キッチンに向かった。 んー? 何作ろう? 私が作れるのって、和食ばっかりなのよね。 今度暁さんに教えて貰おうかな? そんな事も思いながら、ご飯を炊きながら、鮭を焼き、小松菜のおひたしと、だし巻き卵、お味噌汁を作った。 食事が出来上がった頃、暁さんは、大あくびしながら、ダイニングにやってきた。 「寝不足なの???」 「そりゃそうだろ。」 「なんで?」 「ブラ外した女が横に寝てて、眠れるか!っての!」 「それぐらいで?」 「男にとっては大問題なんだよっ!」 暁さんは本気で言ってるようなので、私はお味噌汁を入れて、受け流した。 いただきますして、ご飯を食べる。 「えーと、今日は何するの?」 「あぁ、俺は会社で忙しいから。 適当に暇潰しててくれ。 欲しいものはデリバリーすればいい。 金なら置いとくから。」 「私も行っちゃだめ?」 「…今日はダメだ。」 「今日は? どうして???」 私はお味噌汁を飲み尋ねる。 「ヤクザの拷問シーンが見たいか? そりゃーえぐいぞー? 指を一本ずつ…」 「いってらっしゃい!」 私は顔をしかめてそう言った。 「ケーキでも買ってくるから、お利口にしてろよ。」 「お利口に、って… 猫じゃ無いのよ、私は。」 「じゃ、犬だな。 あぁ、違う俺のオモチャだ。」 「人間に格上げして!」 「そのうちな。」 暁さんは意地悪く笑うと、車のキーを取り仕事に出かけた。
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