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side暁 ブルーローズ社に出社すると、いつも通りの職場が広がっていた。 今回の新竜会との抗争では、圧倒的な勝利により、こちらに被害はほとんど出ていない。 それは良いが、ガラス張りの副社長室で、神桜と八雲が談笑していた。 俺は、副社長室に入る。 「おぉ、暁。 今お前の話してた所だよ。」 「なんの話だ? 悪口か?」 俺は答える。 「まぁ、それもあるけどね。」 あるのかよ。 俺は1人がけのソファに座った。 「神桜、華栄崇史の様子は?」 「えぇ、指を何本か折ると、あっさり全て吐きましたよ。」 「ほぉ?」 「だけど、奴は捨て駒に使われていただけの様ですね。 その証拠に、昨日の倉庫銃撃戦には、新竜会の幹部は居ませんでした。 ただ、華栄崇史は天雷会の甘い誘いに乗り、華栄会の情報を全て売っています。 まぁ、多少古い情報でしょうが。 どうしますか? 殺しますか?」 「殺すなら、オヤジの許可を取らないとまずいだろうな。 アイツは華栄会の会長、オヤジの直系だからな、腐っても。」 俺はタバコに火をつけて言う。 「じゃ、俺と暁でオヤジの所に行こう。」 八雲が言う。 「…華栄崇史の処遇について…か?」 「まぁ、あと色々とね。」 俺は軽くため息を吐き、分かった、と言った。 俺と八雲は社長室に入った。 「色々ってなんだよ?」 俺は、鍵を掛けると、八雲にそう尋ねた。 「うん、どうもね、天雷会にもバックがいるらしい。」 「はぁぁぁあ? 華栄会と天雷会以上のヤクザ組織は日本に居ないだろ。」 「日本には、ね。 中国マフィアとの親交があるんだよ。」
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