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side暁 そして、華栄会会長の屋敷に到着した。 相変わらず、般若が飾られていたり、武者が置いてあったりと、the極道!という屋敷だった。 俺たちはもちろん顔パスで屋敷に入ると、奥の奥の間へ案内された。 畳ばりのシンプルな部屋で、オヤジはあぐらをかき、上座に座っている。 俺たちは、一礼をして、下座に座った。 「久しいな。 八雲。 暁。」 オヤジは言った。 「ご無沙汰しています。」 「おなじく。」 俺と八雲は言う。 「倉庫で銃撃戦したそうだな、暁。」 「はい、証拠や遺体は全て片しました。」 「ふん。 で、何の用だ?」 「お察しかと思いますが、天雷会の動きが怪しいです。 華栄崇史は、天雷会の捨て駒として、倉庫の銃撃戦で捕らえました。 まだ、生きていますが… 華栄会の情報を天雷会に売った罪は重く、殺すのが妥当かと。」 八雲が言う。 「…暁、お前はどう思う。」 オヤジが俺に目を向けて言った。 「自由にすれば、あの野郎は同じことを繰り返すと思いますね。 華栄会を大事にする為に、殺すべきだと考えます。」 「そうか… 殺せ。」 オヤジは言った。 短い一言だが、自分の実の息子を殺せというのは、どれほどの覚悟が要るのだろうか…。 いや、誰もかれも、ヤクザは死ぬ覚悟がある。 そして、また、殺す覚悟も… 「ただし… 最期は安らかに死なせてやってくれんか?」 最期の情とでも言うように、オヤジはそう俺たちに頼んだ。 「心得ました。」 俺は答えた。 「話はそれだけか?」 オヤジは言う。 「天雷会のバックには中国マフィアがうろちょろしています。」 「対策は考えてある。 もうしばらくは警戒しながら、待機しろ。」 オヤジが言い、俺たちは部屋を後にした。
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