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「お待たせ!」 「ったく! おせーよ。 ん? その髪どーなってんの??? 可愛いじゃん。」 暁さんが私のフィッシュボーンを持ち上げながら、不思議そうに尋ねる。 「編み込んでるだけ! 早く行こう!」 私は心の中でガッツポーズしながら、暁さんを押して玄関を出た。 「どの車で行くの?」 私は尋ねる。 「あぁ、どれがいい? そこの一列、俺の車。」 20台以上はあるんですけど… 私は呆気に取られる中、青のスポーツカーを指差した。 「あぁ、スープラか。 青が好きなのか?」 「そう、私のラッキーカラーなの!」 「ふぅん? まぁ、いい。 行こう。」 そして、そのスポーツカーに乗り込んで、東京都内をドライブしながら、ゆっくりと海へ向かった。 1時間後、着いた海は… 「ここ…」 人気(ひとけ)の無い、荒波が目立つ、寂れた港… そこは、私と暁さんが出会った場所だった… 「なぁ、夜宵…」 「ん?」 「ここを約束の地にしないか?」 「約束の地…?」 「そう。 俺が万一サツに捕まったり、海外に飛んだりしても… 必ず、この海に帰ってくるから… 待っててくれないか…?」 潮風に吹かれ、暁さんはそう言った。 「絶対、帰って来るって… 約束してくれる…?」 「あぁ、必ず… でも、もしも、俺が死んだら…」 「やめて! そんなの聞きたく無い!!! 死ぬなんて… 死ぬなんて…!」 「夜宵。 厳しい事を言うけれど、俺と共に生きたいなら、俺のすぐそばに死があること、理解してくれ。 俺が死んだら… この海には2度と来るな。 全てを忘れて、新しい人生を歩むんだ。」 私は涙ぐみながら、その言葉を聞いた。 何故なの? どうして、そんなに悲しい事が言えるの? 私の心は、まだ受け入れる事が出来なかった。 暁さんが、いつか死ぬかもしれない人だと…
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