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私は指示された通りに、ソファに座った。 「では、問題無さそうなので、私は下の階の自分の部屋に戻ります。」 銀髪の男はそう言って、部屋から出て行った。 黒髪長髪の男は、黒のスーツの上着をハンガーにかけると、腕まくりした。 袖口からは、刺青がはっきりと見えた。 「なんだ? この刺青が珍しいか? いずれ、俺の全身の刺青を見ることになるだろうけどな。」 意味深な発言をして、しばらくすると、キッチンからコーヒーとココアの香りがした。 男は、私にココアを出し、自分にはコーヒーを置いた。 「飲めよ。 毒なんか入ってない。 今はまだ、な。」 男はソファの背にもたれて、タバコに火をつけた。 あの甘い香りがした。 私は、ココアに手を付けなかった。 カタカタと手が震えているのを隠す為だ。 「…お前、名前は…?」 「…………」 私は答えなかった。 名前を言っても、いい事は無いと直感したからだ。 「ふん。 賢い女は鬱陶しいな。 やっぱり、薬漬けにして、変態金持ちに売り飛ばすか…」 「やよい… 夜に、宵闇の宵で、やよい… 呼ぶだけなら、苗字は必要無いでしょう。」 私は震える手を握りしめてそう言った。 「やよい…ね。 まぁ、いい。 ふん。 強がってる割に手が震えてんぞ? 俺は(あかつき)だ。」 「…………」 私は無言で暁さんを見つめた。 「確かに、かなりの上玉だ…」 暁さんは、立ち上がると私に覆い被さり、私のあごを持ち上げて、タバコの煙混じりのキスをした。 「…ん…ふぁ… ごほっ! ごほっ!」 私が僅かに喘ぎ、咳き込むと、暁さんは面白そうにさらに煙混じりのキスをした。
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