おいしいランチタイム ～年下デザイナーと1時間だけの恋人～

1.今日はパスタセット

優花は曖昧に笑みを浮かべるとレジカウンターの下に隠してあった透明なビニールバッグを持った。よく見てみると周りのテナントもお昼休憩に入る人が多いようで、朝と比べて少しだけ人数が少なくなっている気がした。

それに習うように通路の端を歩いて、関係者以外立ち入り禁止の扉の前に立つと、誰が見ているとも限らないのにお辞儀をしてバックヤードの中へと滑り混んだ。

「はぁ……お昼かぁ」

食堂に向かいながらスマホの時刻を確認する。誰かからメッセージが来てればまだ気分も紛れるのにと思いながら、こういうときに限って何も送られてきていない。一時間という短くて長いランチタイムが始まった。