おいしいランチタイム ～年下デザイナーと1時間だけの恋人～

1.今日はパスタセット

トレーにできたてのパスタをおいてくれたおじさんは親切心からわざわざ指をさして教えてくれた。その人物は今、優花にとって見れば一番会いたくない人だった。

「あ、ありがとうございます……」
「おう、また来てくれよな」

だが、こちらの事情を話すのもどうかと思い優花は愛想笑いを浮かべながらトレーを持ってその場を去った。逆に考えればそちらの方へ行かないようにすればいいだけのこと、とポジティブに考えてみるのだが、居場所が分かれば気になってしまう。優花はおじさんが教えてくれた方向に視線を向けた。

「あ……」

そこにはつい先週まで一緒にランチをしていた人が、別の女の子とランチをしている姿があった。その女の子は優花も知っている人で最近新しく入った若い女性向けのブランド服のテナントで働いている女の子だった。店員さんも読者モデルのようにすらっとしたキレイな人が多く食堂でも目を引いている。

「切り替えが早いってことなのかな……」
　自分から切り出した別れなのに、多少なりとおも引きずっていることに気付く。