まどろむ暁、滲んで消える。

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 長瀬の診察室を出た雪。  1人の女性が近付いてくる。  「・・・川島雪さんですか?」  突然声をかけられ、雪は戸惑い睨む。  「ああ、ごめんなさい!私は四ツ谷と言います。   カウンセラーです」  そう言って微笑む。  上下グレーのスーツに黒いヒール。この病院の人達とは雰囲気が違う。  雪は身構える。  「・・・カウンセラー・・・?」  「そう。長瀬先生に呼ばれて来ました」  「長瀬先生に?」  「そうなの。あなたの力になってあげてって言われてね」  親しい医師の名前を出され、雪は少し警戒を解く。  「私の力に・・・?」  「そう。あなたの不眠症を治す為にね」  そう言うと、四ツ谷は手を差し出す。  「あなたを助けに来たの。よろしくね」  雪は戸惑いながらも、恐る恐る手を差し出し、握った。
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