まどろむ暁、滲んで消える。

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 それから何度目かの、四ツ谷によるカウンセリングが行われた。  「今日はあなたについて聞かせて欲しいの」  「私?」  四ツ谷が頷く。雪は首を傾げながら了承した。  きっと不眠症を治すのに必要なんだろうと思って。  「ではまず・・・あなたのお名前は?」  「川島雪」  「誕生日は?」  「3月27日」  「年は?」  「15」  白い部屋で淡々と質問が続けられる。  この部屋には時計が無いので、どれくらいの時間が経っているのかわからない。  「家族構成を聞かせて?」  「えっと私と花火。・・・と、お父さんとお母さんとお兄ちゃん」  「お父さんとお母さんとお兄さんは?」  「・・・いない。死んじゃったから」  「事故に巻き込まれた?それとも事件?」  「・・・」  雪が頭を押さえる。また黒いもやが広がる。  でも四ツ谷は静かに続ける。  「雪ちゃんお願い、教えて。   御両親とお兄さんは、どうして亡くなったの?」  「・・・事件に・・・巻き込まれた・・・」  「どういう事件?」  「・・・家に・・・知らない、ひと、が、来て・・・そ、それで・・・お、お父さん、と、お母さんと、お・・・おにい、ちゃ・・・を・・・」  肩で呼吸を始める雪。  しかし四ツ谷は尋ね続ける。  「不審者が家に来て、御家族3人を襲ったのね。あなたは大丈夫だったの?」  「はっ、はっ、はなっ・・・花火がっ、はっ、いて・・・くれたっ、からっ、はっ、はっ・・・!」  雪は過呼吸になりかけていた。しかし四ツ谷は必死に食い下がる。  「雪さん!あなたは本当に・・・!」  「やめろっっっ!!!!」  四ツ谷が言いかけた所で花火が飛び込んできた。  「雪を苦しめるな!!!もう帰れ!!!」  「は、花火さん・・・?」  「雪は私が守る。雪をいじめるなら・・・私はお前を殺す!!!」  花火は雪を抱き締めながら、四ツ谷を睨み付ける。  その後すぐに長瀬達が飛んできて、四ツ谷はそれ以上何も聞かなかった。  雪はそのまま目を閉じ、気絶した。
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