0人が本棚に入れています
本棚に追加
それから何度目かの、四ツ谷によるカウンセリングが行われた。
「今日はあなたについて聞かせて欲しいの」
「私?」
四ツ谷が頷く。雪は首を傾げながら了承した。
きっと不眠症を治すのに必要なんだろうと思って。
「ではまず・・・あなたのお名前は?」
「川島雪」
「誕生日は?」
「3月27日」
「年は?」
「15」
白い部屋で淡々と質問が続けられる。
この部屋には時計が無いので、どれくらいの時間が経っているのかわからない。
「家族構成を聞かせて?」
「えっと私と花火。・・・と、お父さんとお母さんとお兄ちゃん」
「お父さんとお母さんとお兄さんは?」
「・・・いない。死んじゃったから」
「事故に巻き込まれた?それとも事件?」
「・・・」
雪が頭を押さえる。また黒いもやが広がる。
でも四ツ谷は静かに続ける。
「雪ちゃんお願い、教えて。
御両親とお兄さんは、どうして亡くなったの?」
「・・・事件に・・・巻き込まれた・・・」
「どういう事件?」
「・・・家に・・・知らない、ひと、が、来て・・・そ、それで・・・お、お父さん、と、お母さんと、お・・・おにい、ちゃ・・・を・・・」
肩で呼吸を始める雪。
しかし四ツ谷は尋ね続ける。
「不審者が家に来て、御家族3人を襲ったのね。あなたは大丈夫だったの?」
「はっ、はっ、はなっ・・・花火がっ、はっ、いて・・・くれたっ、からっ、はっ、はっ・・・!」
雪は過呼吸になりかけていた。しかし四ツ谷は必死に食い下がる。
「雪さん!あなたは本当に・・・!」
「やめろっっっ!!!!」
四ツ谷が言いかけた所で花火が飛び込んできた。
「雪を苦しめるな!!!もう帰れ!!!」
「は、花火さん・・・?」
「雪は私が守る。雪をいじめるなら・・・私はお前を殺す!!!」
花火は雪を抱き締めながら、四ツ谷を睨み付ける。
その後すぐに長瀬達が飛んできて、四ツ谷はそれ以上何も聞かなかった。
雪はそのまま目を閉じ、気絶した。
最初のコメントを投稿しよう!