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目を開けると、いつもの天井があった。
白い壁に床。小さなテレビが1つ。
周りを見渡すが誰もいない。
テレビの電源を押すが、画面は点かなかった。
「・・・正直もう、会ってもらえないと思ったわ」
そう静かに語る四ツ谷。
そこはいつものカウンセリング室だった。
「でも、これだけは分かって欲しい。私達はあなたを苦しめたいわけじゃないの。
あなたを助けたいの。それだけは分かって欲しい」
四ツ谷は強く言う。
でも雪は俯いたまま。
「・・・あなたは、御両親から酷い虐待を受けていた」
「・・・」
「それは幼少の頃からずっと続いていた」
「・・・」
「でも御両親はその痕跡を巧妙に隠していた為、役所の人間も、周りの人間も気付かなかった」
白い室内にブラインドから僅かに光が差し込む。
床に反射して、光っている部分に埃がきらきら浮いている。
「そんな御両親とお兄さんが1年前、自宅で殺害された。強盗の犯行かとも考えたけど、3人とも・・・包丁で何度も何度も刺された後があった・・・強い恨みがあったと感じた」
四ツ谷の手に力が入る。
「・・・あなたがやったの?」
室内が沈黙に包まれる。
「違うよ」
「えっ?」
「花火が・・・助けてくれたの」
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